2018年に入り個人の不動産投資市場を騒がしている「かぼちゃの馬車問題」

女性専用のシェアハウスで、新築でサブリース契約で賃料収入が保証され、

年収がそれほど高くない投資家の方でも不動産投資ができるものでした。

この不動産投資を始めた方は800人位いるそうです。

 

この不動産投資の特徴は

・賃料収入はサブリース契約で保証されている

・年収が少なくとも金利を高くする事で融資がでる

・土地から購入して新築の建物を建設する

 

金利が高くてもサブリース保証賃料により、毎月数十万円の不労所得が

得られるというとても魅力的な投資だった様です。

 

しかしながらこの投資を継続するために重要なサブリース契約で定められた

保証賃料がわずか数年で金融機関へのローン返済額まで減額され、

それからわずか数か月、1円も賃料がサブリース賃料が支払われなくなりました。

 

現在、被害者の会が発足され「融資を引き出すのために資料改竄」などが行われていた事

など業者の詐欺的行為を立証すべく活動を始めています。

 

おとぎ話のかぼちゃの馬車に乗るシンデレラの魔法がとけてしまったように

バラ色の計画から一変、投資家の方は大きな負債を抱える事になってしまったのです。

今回は何故この問題が起きたしまったか考えたいと思います。

 (写真=123RF)

1.サブリース契約の信用

今回のサブリース問題は「かぼちゃの馬車問題」が起こる前から問題視されていました。

テレビなどでも特集が組まれていた事もあり、その中で報道されていたのが、

サブリース契約を結ぶ時にオーナーには収益が下がる可能性がある事を

まったく説明していなかったり、契約更新を拒否すると高額な違約金を取られる契約に

なっていたり、それとは反対にサブリース賃料の減額ができる契約であったり、

サブリース会社に得となる契約を結ばせていた内容でした。

 

今回のケースも同様にローンの返済期間にわたり賃料を保証する事で

オーナー側がキャッシュフローが安定した商品であると考え、

こぞって投資をされたのだと思います。

実際の契約書は見ておりませんが、恐らく契約書にはサブリース賃料を減額できる規定も

設けられていたと思います。

投資家の中には「冷静に考えみると・・・」と今になって気が付いた方が多いと思います。

レオパレス問題などが騒がれている中でどうしてこの会社を信用したのか。

そこにもまた仕掛けがありました。

元社長が出版した書籍「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資には

入居者の方を対象とした人材紹介ビジネスで収入を得ていれば空室があっても

問題がないと言う事でした。

 

つまり空室があっても人材紹介ビジネスで収入があれば、稼働率が低くても

サブリース賃料を支払えるという事だった様です。

しかしながらこの部分も冷静に考えると未来永劫として同じ利益を上げる企業は

ありませんし、時と共に建物も劣化します。

冷静になって考えると「そんな美味しい話はない」と多くの方が思う投資だったのです。

すべては建前上の話で多くの方が憶測でバラ色の投資をイメージし

冷静に物事の判断ができなくなってしまったのだと思います。

また実際に蓋を開けてみると物件の稼働率は50%も満たない物件も多数あった様です。

この稼働率(家賃収入)で人材紹介ビジネスでどうして穴埋めができるのか?

この部分も冷静に考えてみると難しい事がわかります。

 

かぼちゃの馬車シリーズの平均賃料が5万円位で総戸数が12部屋なので

稼働率50%で6部屋空室×5万=30万円となりますが、この30万円を穴埋めするための

居住されている方の仕事の斡旋料で工面すると言う考えですが、

都合良くその時に居住者の方が仕事を探しているかは不明確です。

また人材紹介ビジネスを行う上で会社としてスタッフなど経費もかかります。

やはり人材紹介ビジネスで穴埋めできると言うのは安易な発想だった訳です。

 

2.金融機関のビジネスモデル

不動産投資を考えた事がある方の多くがスルガ銀行の不動産融資がどの様な商品か

ご存知だと思います。

スルガ銀行は地銀の一つで静岡県に本店がある銀行です。

スルガ銀行は不動産投資家向けに融資を拡大する事で瞬く間に収益モデルを

確立しました。

昨年はメガバンクを含めた数ある金融機関の中で平均年収ナンバー1の金融機関でした。

貸付先がないと言われている中でスルガ銀行は不動産投資家向けの融資を拡大した

結果だと思います。

またスルガ銀行の貸付金利は非常に高金利で融資をする代わりに

他行と比較すると物件評価には寛容で他行では難しい物件に対しての融資も

行っておりました。

特にサラリーマン投資家の様に他に安定した所得を持った方への融資は非常に

前向きなスタンスでした。

今回の「かぼちゃの馬車」も例外でなく明らかに積算価値(土地と建物を取得する原価)を

考えると融資額に満たない物件でも、サブリース賃料を基に計算された収益還元価格に

基づいた評価がされ、融資が行われていました。

投資家の方の中で銀行の融資が付いたのだから「お墨付き」を貰ったと考えた方も

少なくなかった様です。

 

3.投資家の方は物件価値、収益性を意識しなかった

「投資は自己責任」と言われる様に不動産投資もやはり同様です。

どこまで投資家の方々が高額の建設費を認識できたか、

周辺の賃貸募集事例と比較をしてかぼちゃの馬車の賃料が高額であったか、

調査をしたのかは不明点が多いですが、

実際にかぼちゃの馬車のシェアハウスで重要な共有スペースをなくすと言う

コンセプトで行っていた様ですが、シェアハウスはそもそも入居者同士の

コミュニケーションができると言う利点で作られた居住の形です。

共有スペースを失くすと言うのはあくまでも建設費が安くなると言う都合なだけの

様にも思いますし、共有スペースがない物件に住むのであれば、

ワンルームでも良いと思いますし、実際にかぼちゃの馬車の賃料を払えば

シェアハウス以外でも一人暮らしができる物件はあります。

 

どこまでこうした状況を調べていた投資家がいるかはわかりませんが、

少しでも不動産投資に関する知識があれば、物件の間取りや周辺事例などを

確認できれば、相場賃料と比較して高額のサブリース賃料の妥当性について

見抜けた可能性はあると思います。

 

しかしながら殆どの投資家の方が業者の言いなりになって不動産投資を始めてしまいました。

 

おわりに

今回の事件は個人の不動産投資マーケットに非常に大きなインパクトを与えていると思います。

現在、複数のオーナーはスルガ銀行に対して元利金の支払停止を求めていたり、

各当事者の責任問題の立証を行おうとしています。

恐らく他の金融機関も今後の動向を注視していると思います。

金融庁も不動産投資に対する融資についてさらに監視強化を行う傾向になると思います。

 

数十年間約束されたサブリース契約でも、その賃料の妥当性や万が一、

契約が解除となっても実態の市場の中で保有・購入する物件がどの位のポテンシャルが

あるか、見極めながら不動産投資を行うという事が必要です。

 

著者:日本AMサービス 堂下 葉

 

ご質問などお気軽にお問い合わせ下さい!

かぼちゃの馬車問題は何故起きた!?https://i0.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2018/03/19982021_l.jpg?fit=1024%2C1024https://i0.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2018/03/19982021_l.jpg?resize=150%2C150yodoshita不動産マーケット金融2018年に入り個人の不動産投資市場を騒がしている「かぼちゃの馬車問題」女性専用のシェアハウスで、新築でサブリース契約で賃料収入が保証され、年収がそれほど高くない投資家の方でも不動産投資ができるものでした。この不動産投資を始めた方は800人位いるそうです。 この不動産投資の特徴は・賃料収入はサブリース契約で保証されている・年収が少なくとも金利を高くする事で融資がでる・土地から購入して新築の建物を建設する 金利が高くてもサブリース保証賃料により、毎月数十万円の不労所得が得られるというとても魅力的な投資だった様です。 しかしながらこの投資を継続するために重要なサブリース契約で定められた保証賃料がわずか数年で金融機関へのローン返済額まで減額され、それからわずか数か月、1円も賃料がサブリース賃料が支払われなくなりました。 現在、被害者の会が発足され「融資を引き出すのために資料改竄」などが行われていた事など業者の詐欺的行為を立証すべく活動を始めています。 おとぎ話のかぼちゃの馬車に乗るシンデレラの魔法がとけてしまったようにバラ色の計画から一変、投資家の方は大きな負債を抱える事になってしまったのです。今回は何故この問題が起きたしまったか考えたいと思います。  (写真=123RF)1.サブリース契約の信用 今回のサブリース問題は「かぼちゃの馬車問題」が起こる前から問題視されていました。テレビなどでも特集が組まれていた事もあり、その中で報道されていたのが、サブリース契約を結ぶ時にオーナーには収益が下がる可能性がある事をまったく説明していなかったり、契約更新を拒否すると高額な違約金を取られる契約になっていたり、それとは反対にサブリース賃料の減額ができる契約であったり、サブリース会社に得となる契約を結ばせていた内容でした。 今回のケースも同様にローンの返済期間にわたり賃料を保証する事でオーナー側がキャッシュフローが安定した商品であると考え、こぞって投資をされたのだと思います。実際の契約書は見ておりませんが、恐らく契約書にはサブリース賃料を減額できる規定も設けられていたと思います。投資家の中には「冷静に考えみると・・・」と今になって気が付いた方が多いと思います。レオパレス問題などが騒がれている中でどうしてこの会社を信用したのか。そこにもまた仕掛けがありました。元社長が出版した書籍「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資には入居者の方を対象とした人材紹介ビジネスで収入を得ていれば空室があっても問題がないと言う事でした。 つまり空室があっても人材紹介ビジネスで収入があれば、稼働率が低くてもサブリース賃料を支払えるという事だった様です。しかしながらこの部分も冷静に考えると未来永劫として同じ利益を上げる企業はありませんし、時と共に建物も劣化します。冷静になって考えると「そんな美味しい話はない」と多くの方が思う投資だったのです。すべては建前上の話で多くの方が憶測でバラ色の投資をイメージし冷静に物事の判断ができなくなってしまったのだと思います。また実際に蓋を開けてみると物件の稼働率は50%も満たない物件も多数あった様です。この稼働率(家賃収入)で人材紹介ビジネスでどうして穴埋めができるのか?この部分も冷静に考えてみると難しい事がわかります。 かぼちゃの馬車シリーズの平均賃料が5万円位で総戸数が12部屋なので稼働率50%で6部屋空室×5万=30万円となりますが、この30万円を穴埋めするための居住されている方の仕事の斡旋料で工面すると言う考えですが、都合良くその時に居住者の方が仕事を探しているかは不明確です。また人材紹介ビジネスを行う上で会社としてスタッフなど経費もかかります。やはり人材紹介ビジネスで穴埋めできると言うのは安易な発想だった訳です。  2.金融機関のビジネスモデル 不動産投資を考えた事がある方の多くがスルガ銀行の不動産融資がどの様な商品かご存知だと思います。スルガ銀行は地銀の一つで静岡県に本店がある銀行です。スルガ銀行は不動産投資家向けに融資を拡大する事で瞬く間に収益モデルを確立しました。昨年はメガバンクを含めた数ある金融機関の中で平均年収ナンバー1の金融機関でした。貸付先がないと言われている中でスルガ銀行は不動産投資家向けの融資を拡大した結果だと思います。またスルガ銀行の貸付金利は非常に高金利で融資をする代わりに他行と比較すると物件評価には寛容で他行では難しい物件に対しての融資も行っておりました。特にサラリーマン投資家の様に他に安定した所得を持った方への融資は非常に前向きなスタンスでした。今回の「かぼちゃの馬車」も例外でなく明らかに積算価値(土地と建物を取得する原価)を考えると融資額に満たない物件でも、サブリース賃料を基に計算された収益還元価格に基づいた評価がされ、融資が行われていました。投資家の方の中で銀行の融資が付いたのだから「お墨付き」を貰ったと考えた方も少なくなかった様です。  3.投資家の方は物件価値、収益性を意識しなかった 「投資は自己責任」と言われる様に不動産投資もやはり同様です。どこまで投資家の方々が高額の建設費を認識できたか、周辺の賃貸募集事例と比較をしてかぼちゃの馬車の賃料が高額であったか、調査をしたのかは不明点が多いですが、実際にかぼちゃの馬車のシェアハウスで重要な共有スペースをなくすと言うコンセプトで行っていた様ですが、シェアハウスはそもそも入居者同士のコミュニケーションができると言う利点で作られた居住の形です。共有スペースを失くすと言うのはあくまでも建設費が安くなると言う都合なだけの様にも思いますし、共有スペースがない物件に住むのであれば、ワンルームでも良いと思いますし、実際にかぼちゃの馬車の賃料を払えばシェアハウス以外でも一人暮らしができる物件はあります。 どこまでこうした状況を調べていた投資家がいるかはわかりませんが、少しでも不動産投資に関する知識があれば、物件の間取りや周辺事例などを確認できれば、相場賃料と比較して高額のサブリース賃料の妥当性について見抜けた可能性はあると思います。 しかしながら殆どの投資家の方が業者の言いなりになって不動産投資を始めてしまいました。  おわりに 今回の事件は個人の不動産投資マーケットに非常に大きなインパクトを与えていると思います。現在、複数のオーナーはスルガ銀行に対して元利金の支払停止を求めていたり、各当事者の責任問題の立証を行おうとしています。恐らく他の金融機関も今後の動向を注視していると思います。金融庁も不動産投資に対する融資についてさらに監視強化を行う傾向になると思います。 数十年間約束されたサブリース契約でも、その賃料の妥当性や万が一、契約が解除となっても実態の市場の中で保有・購入する物件がどの位のポテンシャルがあるか、見極めながら不動産投資を行うという事が必要です。 著者:日本AMサービス 堂下 葉 ご質問などお気軽にお問い合わせ下さい!~次世代のための賃貸経営情報~
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