皆さんが良く耳にするのは企業においての黒字倒産だと思います。

企業において黒字倒産とは売上が上がり利益がでたとしても、売上に対する対価が現金ではなく

売掛金・受取手形等であったりします。

その場合、利益が出ていても借金の返済に手許にある現金が不足していた場合、

借金を返済できずに倒産をせざるを負えない状況になります。これを企業においての黒字倒産と言います。

 

企業の毎年の決算において貸借対照表や損益計算書が一般的な書類ですが、

キャッシュフロー計算書が非常に重要となているのはそのためです。

キャッシュフロー計算書はその名の通り企業の現金の流出入を書面にしたものです。

(写真=123RF)

実はこのキャッシュフロー計算を理解する事は不動産投資にも非常に重要で、

キャッシュフローを気にしていないと利益が出ているのにキャッシュフローが

マイナスになってしまうケースもあります。

利益が出ているのに何故?キャッシュフローがマイナスなのか

それは不動産投資は借入を行い(手元資金ゼロも非常に多い)投資をするためです。

不動産投資における黒字倒産は収益は上がっているけれども、

借入金の元金返済でキャッシュフローがマイナスになってしまっている事を意味します。

 

利益が上がっているのにキャッシュフローがマイナスと言うのは良く理解できないと思いますが、

具体的に解説をさせて頂きます。

 

例:1億円の物件、年収1,000万円の賃料収入 経費10% 減価償却費400万円

借入1億円 金利4.5%  23年返済 利息450万円 毎年元金返済434万円

としましょう。

まず利益を計算してみます、

1,000万円-経費100万円-減価償却費400万円-支払利息450万円=950万円

この50万円が税引前の利益なので20%課税(10万円)されたとして40万円が税引後の利益になります。

 

減価償却費は実際にキャッシュフローに影響を与えない費用ですので、

実際に手許に残っているキャッシュは440万円になります。

(参照:「減価償却費と耐用年数」)

 

この手残りのキャッシュから元金返済分434万円を支払うと実際に手に残るのは6万円になります。

 

次に当該物件が耐用年数が経過した木造物件だとして5年後を想定してみましょう。

投資をしてから一定の時期が過ぎると建物の減価償却費が計上されなくなります。

元金の返済が4年で1,600万円減少していると仮定して8,400万円に4.5%の利息378万円

(注:元利均等の場合や毎月払いなどを考慮すると細かな数字ですので割愛します。)

 

ここから利益計算をしてみましょう

1,000万円-経費100万円-支払利息378万円=522万円

減価償却費がなくなると税引前の利益が522万円となります。

わかりやすく税率を20%(104万円)を計算をすると418万円が税引後の利益になります。

ここから元利金返済の434万円を差し引くと△16万円となるわけです。

 

この様に減価償却費が耐用年数経過後は経費計上ができなくなり、

借入金の元金は税金を支払った後の手残りから支払う必要があるため、

このバランスが崩れると黒字でもキャッシュフローがマイナスという状態に陥るわけです。

さらに不動産投資の借入条件は一般的には元利均等払(元金返済が増えて行く)のため、

元金返済が大きくなればなるほどキャッシュフローのマイナス額が大きくなるわけです。

 

キャッシュフローの問題と隣り合わせのリスク

上記の例では収入と経費が一定と仮定しておりますが、稼働率や経費率は

時間とともに必ず変動をするものです。

こうしたリスクが隣り合わせになっているため誤った物件を購入してしまうと

非常にリスクが高い投資となってしまう可能性があります。

もし他の手元資金がなく、キャッシュフローのマイナスをカバーできなければ、

最悪のケースでは破産しなければならない事になります。

(実際に不動産投資で破産をした方も数名見てきています。)

また個人で保有をしている場合、税務面でサラリーマン所得などがある方は

課税率が高く先程の例で減価償却費が計上されなくなった場合の税金部分の増加により

キャッシュフローのマイナスはさらに大きな額になったり、支払利息が経費ならない事もあるので

注意が必要です。

(参照:「支払い利息が全額経費にならない」)

 

まとめ

この様に不動産投資は単純に利益追求だけでなく税務面や元利金の返済面を考慮した

キャッシュフロー計算も非常に重要な概念になります。

 

しかしながら現在、安易に行われている投資は表面上の利益やキャッシュフローを計算を

簡易的に行われているケースが多く、

保有をしてから、

「まったく手許にキャッシュが残らない」「まったく節税対策にならない」などの

問題が発生してしまいます。

 

購入してから気が付いても購入を取り辞める事もできず元利金返済は待ったなしです。

こうした裏表の部分を考慮した上で不動産投資を行いましょう。

 

著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉

不動産投資で黒字倒産??投資家に潜む罠https://i0.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/06/41330269_ml.jpg?fit=1024%2C683https://i0.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/06/41330269_ml.jpg?resize=150%2C150yodoshita不動産税務賃貸経営金融不動産投資,不動産投資、皆さんが良く耳にするのは企業においての黒字倒産だと思います。企業において黒字倒産とは売上が上がり利益がでたとしても、売上に対する対価が現金ではなく売掛金・受取手形等であったりします。その場合、利益が出ていても借金の返済に手許にある現金が不足していた場合、借金を返済できずに倒産をせざるを負えない状況になります。これを企業においての黒字倒産と言います。 企業の毎年の決算において貸借対照表や損益計算書が一般的な書類ですが、キャッシュフロー計算書が非常に重要となているのはそのためです。キャッシュフロー計算書はその名の通り企業の現金の流出入を書面にしたものです。(写真=123RF) 実はこのキャッシュフロー計算を理解する事は不動産投資にも非常に重要で、キャッシュフローを気にしていないと利益が出ているのにキャッシュフローがマイナスになってしまうケースもあります。 利益が出ているのに何故?キャッシュフローがマイナスなのか それは不動産投資は借入を行い(手元資金ゼロも非常に多い)投資をするためです。不動産投資における黒字倒産は収益は上がっているけれども、借入金の元金返済でキャッシュフローがマイナスになってしまっている事を意味します。 利益が上がっているのにキャッシュフローがマイナスと言うのは良く理解できないと思いますが、具体的に解説をさせて頂きます。 例:1億円の物件、年収1,000万円の賃料収入 経費10% 減価償却費400万円借入1億円 金利4.5%  23年返済 利息450万円 毎年元金返済434万円としましょう。まず利益を計算してみます、1,000万円-経費100万円-減価償却費400万円-支払利息450万円=950万円この50万円が税引前の利益なので20%課税(10万円)されたとして40万円が税引後の利益になります。 減価償却費は実際にキャッシュフローに影響を与えない費用ですので、実際に手許に残っているキャッシュは440万円になります。(参照:「減価償却費と耐用年数」) この手残りのキャッシュから元金返済分434万円を支払うと実際に手に残るのは6万円になります。 次に当該物件が耐用年数が経過した木造物件だとして5年後を想定してみましょう。投資をしてから一定の時期が過ぎると建物の減価償却費が計上されなくなります。元金の返済が4年で1,600万円減少していると仮定して8,400万円に4.5%の利息378万円(注:元利均等の場合や毎月払いなどを考慮すると細かな数字ですので割愛します。) ここから利益計算をしてみましょう1,000万円-経費100万円-支払利息378万円=522万円減価償却費がなくなると税引前の利益が522万円となります。わかりやすく税率を20%(104万円)を計算をすると418万円が税引後の利益になります。ここから元利金返済の434万円を差し引くと△16万円となるわけです。 この様に減価償却費が耐用年数経過後は経費計上ができなくなり、借入金の元金は税金を支払った後の手残りから支払う必要があるため、このバランスが崩れると黒字でもキャッシュフローがマイナスという状態に陥るわけです。さらに不動産投資の借入条件は一般的には元利均等払(元金返済が増えて行く)のため、元金返済が大きくなればなるほどキャッシュフローのマイナス額が大きくなるわけです。  キャッシュフローの問題と隣り合わせのリスク 上記の例では収入と経費が一定と仮定しておりますが、稼働率や経費率は時間とともに必ず変動をするものです。こうしたリスクが隣り合わせになっているため誤った物件を購入してしまうと非常にリスクが高い投資となってしまう可能性があります。もし他の手元資金がなく、キャッシュフローのマイナスをカバーできなければ、最悪のケースでは破産しなければならない事になります。(実際に不動産投資で破産をした方も数名見てきています。)また個人で保有をしている場合、税務面でサラリーマン所得などがある方は課税率が高く先程の例で減価償却費が計上されなくなった場合の税金部分の増加によりキャッシュフローのマイナスはさらに大きな額になったり、支払利息が経費ならない事もあるので注意が必要です。(参照:「支払い利息が全額経費にならない」)  まとめ この様に不動産投資は単純に利益追求だけでなく税務面や元利金の返済面を考慮したキャッシュフロー計算も非常に重要な概念になります。 しかしながら現在、安易に行われている投資は表面上の利益やキャッシュフローを計算を簡易的に行われているケースが多く、保有をしてから、「まったく手許にキャッシュが残らない」「まったく節税対策にならない」などの問題が発生してしまいます。 購入してから気が付いても購入を取り辞める事もできず元利金返済は待ったなしです。こうした裏表の部分を考慮した上で不動産投資を行いましょう。 著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉~次世代のための賃貸経営情報~
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