賃貸経営を行う中で入居者との間でトラブルになりやすいものの一つに、退去時の原状回復や修繕費用というものがあります。

一般的には大家さんや管理会社さんから原状回復費用を高額に請求されたという話を多く耳にします。

多くのオーナーも管理会社もできればトラブルを起こさずに、退去してもらう事を望んでいます。

今回はオーナーとして入居者の方にどの程度の負担を請求できるかを解説させて頂きます。

(写真=123RF)

 

国土交通省が明確にガイドラインで表明している

賃貸物件の原状回復工事に伴う揉め事は非常に多く、少額訴訟などに発展するケースも多くあります。

そこで国土交通省でもそういった揉め事をなくすために、明確にガイドラインを設定しており、国土交通省のホームページにも記載されています。

 

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」国土交通省住宅局

http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf

原状回復の入居者の方への負担区分については基本的にこのガイドラインに基づいて行う事になります。

 

原状回復は元の状態に戻すと言う意味ではない

勘違いをされている方も多いのですが、原状回復は入居時の状態に戻すと考えられている方が多いのですが、

国土交通省のガイドラインでは、「原状回復」という言葉は入居時の同じお部屋の状態に戻すと言う意味ではないと定めています。

数年間入居をしているとお部屋には通常に使用をしていても壁紙などに汚れがついてしまう事があります。

こうした部分について、多少汚れがついたからといって、入居者負担でに壁紙を全て交換する請求は妥当ではありません。

入居者の方が自然に使っていて汚れる部分は経年劣化の対象となり、交換費用や塗装費用を請求する事は難しいです。

ただし明らかな契約違反でタバコを室内で喫煙した事で生じる、壁紙のヤニの汚れ、タバコの臭いが付いた、焦げがついたという

ケースでは壁紙の交換費用や脱臭する費用をを請求することは可能です。

入居者の故意や過失がある場合に発生した被害については、全額を入居者に請求をすることが可能です。

つまり「原状回復」とは、ハウスクリーニングを行えば、次に貸せる程度の状態になると言う事になります。

多くのケースではハウスクリーニングを予め特約で退去時に負担する旨を定めておいて、自然な汚れ以外にダメージがなければ

退去時にクリーニング費用を請求して精算と言う形になります。

 

長期間入居している場合は経年劣化は大家負担

原状回復費用を計算する際に重要となるのが、入居期間がどの程度だったかも加味されます。

国土交通省がガイドラインで定める経過年数に基づく賃借人の費用負担割合としては以下の図のようになります。

(設備等の経過年数と賃借人負担割合、出所:国土交通省)

上記の図から入居から6年経過をすれば賃借人が原状回復費用を負担する割合はなしになる事になります。

一方で明らかな過失(例:ふすまが大きく破れている、壁に落書きなどがあるなど)がある場合は賃借人に原状回復費の請求が可能です。

 

賃貸借契約書に必ず原状回復の負担区分を明確にしましょう

原状回復費用の負担の根拠となるのが賃貸借契約書です。

当然ガイドラインに基づいて原状回復費用の負担区分を基礎として考えらますが、賃貸借契約書などの特約で別途規定も定める事ができます。

例えば退去時のルームクリーニング費用は特約で定めれば請求できる事になっています。

また預かり敷金を退去時に清掃や設備の交換、修繕などを行うために返金しない(いわゆる敷金償却)事を定める事も可能です。

 

よくあるケースですが、退去時のクリーニング費用の負担とだけ明記されていて具体的な金額が明確になっていないケースがあります。

その際に一般的なクリーニング費用とかけ離れた金額を請求しても負担をする必要がないと判断されてしまう可能性がありますので、

お部屋の広さに合わせたクリーニング費用の代金を予め明確にして契約書に明記をしておきましょう。

 

まとめ

最後になりますが、原状回復の負担区分でトラブルにならない様にするために、

 

入居時の室内状況を互いに確認をする(現況確認書などに入居者の方のサインをもらっておく)

契約書内で原状回復の範囲を詳細に取り決めを行う(クリーニング費用の負担、敷金償却など)

退去時にしっかりと立会を行い、その場で負担区分を明確にしておく

 

オーナーや管理会社のこの様な行動が非常に重要となります。

賃貸経営においてトラブルが起こるのは非建設的で1円にもならない事です。

不必要な時間を使うばかりか、場合によっては次の募集を早期に進められない事に繋がる事もあります。

 

問題を未然に防ぐ意味でもしっかりと書面を残し、トラブルに発展しない様に事前に対策をする事が一番です。

 

 

著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉

原状回復費の入居者負担はどこまで?https://i0.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/05/62404608_m.jpg?fit=848%2C565https://i0.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/05/62404608_m.jpg?resize=150%2C150yodoshita賃貸管理賃貸経営賃貸経営を行う中で入居者との間でトラブルになりやすいものの一つに、退去時の原状回復や修繕費用というものがあります。一般的には大家さんや管理会社さんから原状回復費用を高額に請求されたという話を多く耳にします。多くのオーナーも管理会社もできればトラブルを起こさずに、退去してもらう事を望んでいます。今回はオーナーとして入居者の方にどの程度の負担を請求できるかを解説させて頂きます。(写真=123RF)   国土交通省が明確にガイドラインで表明している 賃貸物件の原状回復工事に伴う揉め事は非常に多く、少額訴訟などに発展するケースも多くあります。そこで国土交通省でもそういった揉め事をなくすために、明確にガイドラインを設定しており、国土交通省のホームページにも記載されています。 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」国土交通省住宅局http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf原状回復の入居者の方への負担区分については基本的にこのガイドラインに基づいて行う事になります。  原状回復は元の状態に戻すと言う意味ではない 勘違いをされている方も多いのですが、原状回復は入居時の状態に戻すと考えられている方が多いのですが、国土交通省のガイドラインでは、「原状回復」という言葉は入居時の同じお部屋の状態に戻すと言う意味ではないと定めています。数年間入居をしているとお部屋には通常に使用をしていても壁紙などに汚れがついてしまう事があります。こうした部分について、多少汚れがついたからといって、入居者負担でに壁紙を全て交換する請求は妥当ではありません。入居者の方が自然に使っていて汚れる部分は経年劣化の対象となり、交換費用や塗装費用を請求する事は難しいです。ただし明らかな契約違反でタバコを室内で喫煙した事で生じる、壁紙のヤニの汚れ、タバコの臭いが付いた、焦げがついたというケースでは壁紙の交換費用や脱臭する費用をを請求することは可能です。入居者の故意や過失がある場合に発生した被害については、全額を入居者に請求をすることが可能です。つまり「原状回復」とは、ハウスクリーニングを行えば、次に貸せる程度の状態になると言う事になります。多くのケースではハウスクリーニングを予め特約で退去時に負担する旨を定めておいて、自然な汚れ以外にダメージがなければ退去時にクリーニング費用を請求して精算と言う形になります。  長期間入居している場合は経年劣化は大家負担 原状回復費用を計算する際に重要となるのが、入居期間がどの程度だったかも加味されます。国土交通省がガイドラインで定める経過年数に基づく賃借人の費用負担割合としては以下の図のようになります。(設備等の経過年数と賃借人負担割合、出所:国土交通省) 上記の図から入居から6年経過をすれば賃借人が原状回復費用を負担する割合はなしになる事になります。一方で明らかな過失(例:ふすまが大きく破れている、壁に落書きなどがあるなど)がある場合は賃借人に原状回復費の請求が可能です。  賃貸借契約書に必ず原状回復の負担区分を明確にしましょう 原状回復費用の負担の根拠となるのが賃貸借契約書です。当然ガイドラインに基づいて原状回復費用の負担区分を基礎として考えらますが、賃貸借契約書などの特約で別途規定も定める事ができます。例えば退去時のルームクリーニング費用は特約で定めれば請求できる事になっています。また預かり敷金を退去時に清掃や設備の交換、修繕などを行うために返金しない(いわゆる敷金償却)事を定める事も可能です。 よくあるケースですが、退去時のクリーニング費用の負担とだけ明記されていて具体的な金額が明確になっていないケースがあります。その際に一般的なクリーニング費用とかけ離れた金額を請求しても負担をする必要がないと判断されてしまう可能性がありますので、お部屋の広さに合わせたクリーニング費用の代金を予め明確にして契約書に明記をしておきましょう。  まとめ 最後になりますが、原状回復の負担区分でトラブルにならない様にするために、 入居時の室内状況を互いに確認をする(現況確認書などに入居者の方のサインをもらっておく)契約書内で原状回復の範囲を詳細に取り決めを行う(クリーニング費用の負担、敷金償却など)退去時にしっかりと立会を行い、その場で負担区分を明確にしておく オーナーや管理会社のこの様な行動が非常に重要となります。賃貸経営においてトラブルが起こるのは非建設的で1円にもならない事です。不必要な時間を使うばかりか、場合によっては次の募集を早期に進められない事に繋がる事もあります。 問題を未然に防ぐ意味でもしっかりと書面を残し、トラブルに発展しない様に事前に対策をする事が一番です。  著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉~次世代のための賃貸経営情報~
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