ブロックチェーンと不動産取引
最近、よく耳にする「ブロックチェーン」「フィンテック」という言葉、
実際にどういった物かと説明をできる人はまだまだ少ない様です。
読者の皆様も聴いた事はあるけれど、どんな意味を持っているかまでは分らないと思われている方が
多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ブロックチェーンとはどういったものなのか?
これらによって不動産の取引がどう変わっていくのかについて、世界で実際に起きている事例や実証実験などを
紹介しながら解説をさせて頂きます。
(写真=123RF)
ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、簡潔に言うと
「分散型のデータベースで、ブロックと呼ばれるレコードがチェーンのようにつながっている仕組み」
と表現出来ます。
データベースの管理には中央管理型と分散型があり、
中央管理型のデータベースは一括してデータベースが管理されており、分散型のデータベースは、
複数のサーバーでそれぞれが同じ情報を保有している形態になります。
データ管理の脆弱性と言う部分を考慮すると中央管理型では、サーバーが1つしかないため、
何か問題が起きてしまうとサービス全体で機能障害が発生してしまいデータベースの管理面で
万全とは言えない状態ですが、分散型では、同じデータベースを保有するサーバーの1つに問題が発生しても、
他のサーバーが同様のデータを保持しているため、リカバリーができ、
サービス全体に機能障害が起きる可能性は極めて少なくなります。
こうして分散型のデータベースに何か不具合が起きてもカバーできることを「ゼロ・ダウンタイム」と呼ばれます。
また、中央管理型の場合は前述した機能障害に備える必要があるため、
管理コストが膨大にかかってくるのに対し、分散型では、多くを考慮する必要がなくなり、
低コストで耐障害性について安全を確保することが出来ます。
ブロックチェーンで何が出来るのか?
ブロックチェーンの代表的な実用事例としては巷を賑わせているビットコインがあります。
ビットコインとは、「仮想通貨」や「暗号通貨」と呼ばれるものですが、
実際にはモノとして通貨がある訳ではなく、ブロックチェーンには取引の内容が記録されるだけです。
この記録は改ざんされる恐れがなく、紛失する可能性も非常に低いため、その特性が信用となり、
通貨的な役割を果たすことが出来ます。
ブロックチェーンを支える代表的な技術の1つとして、公開鍵暗号方式というものがあります。
公開鍵暗号方式とは、
簡潔に言えば「ある送信者が送信したデータが確実に当該送信者により送信されたことを確かめる仕組み」です。
ある文書を公開鍵暗号方式によってブロックチェーンに記録すれば、
「いつ、だれが、どのような文書を記録したか」を証明することが出来ます。
この仕組みを用いれば、土地の登記記録等をブロックチェーン上で管理出来ることはもちろん、
所有権の移転等についても実現することが出来ます。
実際にスウェーデンでは今年の3月からブロックチェーンを活用した土地登記の実証実験が始まっており、
ジョージア共和国(旧グルジア共和国)においては、既に導入が始まっており、
これまでに20数件の土地登記が行われ、今後はより広範な登記等についても活用していく方針であるようです。
まとめ
さて、世界の各地で実証実験が始まっているブロックチェーンですが、
日本においても大手企業とブロックチェーンベンチャーが組んで実証実験が行われています。
不動産取引に関連するところでは、今年の4月に大手ハウスメーカーが賃貸住宅の情報管理に活用することを
発表しています。
物件情報や契約情報をブロックチェーン上で管理することによりユーザーには、
より正確な物件情報が提供される事やスムーズな契約が行える様な状態になると考えられ
利便性の向上を図ることが出来ると思います。
これからもこうしたサービスが数多く開発されて行くと予想されますが、いずれにおいても、
ブロックチェーンの特性が不動産取引に非常にマッチしていることは間違いがなく、
今後もこの不動産業界におけるブロックチェーンの流れは続いていくでしょう。
不動産の登記記録や取引をブロックチェーン上で管理することが出来るようになれば、
従来からある多くの煩雑な手続きや不透明さが解消され、何より安全性の向上とともに
決済時間が大幅に短縮されるなど結果として不動産取引自体は活性化していくことが期待されます。
不動産取引に関わる各業界は、ブロックチェーンによる社会の変革にどのように寄与していくか、
活躍の場を探し、変化していくことが求められそうです。
著者:
司法書士法人中央グループ・行政書士法人中央グループ・社会保険労務士法人中央グループ
税理士中央グループ
司法書士 小谷野 嗣土
HP:http://www.h-firm.com/index.html
https://reibee.japan-am-service.com/%e3%83%96%e3%83%ad%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%81%a8%e4%b8%8d%e5%8b%95%e7%94%a3%e5%8f%96%e5%bc%95/https://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/08/c3eb9892c558da82e2165d0c11c2d0f0.jpghttps://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/08/c3eb9892c558da82e2165d0c11c2d0f0-150x150.jpg不動産マーケット最近、よく耳にする「ブロックチェーン」「フィンテック」という言葉、 実際にどういった物かと説明をできる人はまだまだ少ない様です。 読者の皆様も聴いた事はあるけれど、どんな意味を持っているかまでは分らないと思われている方が 多いのではないでしょうか。 そこで今回は、ブロックチェーンとはどういったものなのか? これらによって不動産の取引がどう変わっていくのかについて、世界で実際に起きている事例や実証実験などを 紹介しながら解説をさせて頂きます。 (写真=123RF) ブロックチェーンとは? ブロックチェーンとは、簡潔に言うと 「分散型のデータベースで、ブロックと呼ばれるレコードがチェーンのようにつながっている仕組み」 と表現出来ます。 データベースの管理には中央管理型と分散型があり、 中央管理型のデータベースは一括してデータベースが管理されており、分散型のデータベースは、 複数のサーバーでそれぞれが同じ情報を保有している形態になります。 データ管理の脆弱性と言う部分を考慮すると中央管理型では、サーバーが1つしかないため、 何か問題が起きてしまうとサービス全体で機能障害が発生してしまいデータベースの管理面で 万全とは言えない状態ですが、分散型では、同じデータベースを保有するサーバーの1つに問題が発生しても、 他のサーバーが同様のデータを保持しているため、リカバリーができ、 サービス全体に機能障害が起きる可能性は極めて少なくなります。 こうして分散型のデータベースに何か不具合が起きてもカバーできることを「ゼロ・ダウンタイム」と呼ばれます。 また、中央管理型の場合は前述した機能障害に備える必要があるため、 管理コストが膨大にかかってくるのに対し、分散型では、多くを考慮する必要がなくなり、 低コストで耐障害性について安全を確保することが出来ます。 ブロックチェーンで何が出来るのか? ブロックチェーンの代表的な実用事例としては巷を賑わせているビットコインがあります。 ビットコインとは、「仮想通貨」や「暗号通貨」と呼ばれるものですが、 実際にはモノとして通貨がある訳ではなく、ブロックチェーンには取引の内容が記録されるだけです。 この記録は改ざんされる恐れがなく、紛失する可能性も非常に低いため、その特性が信用となり、 通貨的な役割を果たすことが出来ます。 ブロックチェーンを支える代表的な技術の1つとして、公開鍵暗号方式というものがあります。 公開鍵暗号方式とは、 簡潔に言えば「ある送信者が送信したデータが確実に当該送信者により送信されたことを確かめる仕組み」です。 ある文書を公開鍵暗号方式によってブロックチェーンに記録すれば、 「いつ、だれが、どのような文書を記録したか」を証明することが出来ます。 この仕組みを用いれば、土地の登記記録等をブロックチェーン上で管理出来ることはもちろん、 所有権の移転等についても実現することが出来ます。 実際にスウェーデンでは今年の3月からブロックチェーンを活用した土地登記の実証実験が始まっており、 ジョージア共和国(旧グルジア共和国)においては、既に導入が始まっており、 これまでに20数件の土地登記が行われ、今後はより広範な登記等についても活用していく方針であるようです。 まとめ さて、世界の各地で実証実験が始まっているブロックチェーンですが、 日本においても大手企業とブロックチェーンベンチャーが組んで実証実験が行われています。 不動産取引に関連するところでは、今年の4月に大手ハウスメーカーが賃貸住宅の情報管理に活用することを 発表しています。 物件情報や契約情報をブロックチェーン上で管理することによりユーザーには、 より正確な物件情報が提供される事やスムーズな契約が行える様な状態になると考えられ 利便性の向上を図ることが出来ると思います。 これからもこうしたサービスが数多く開発されて行くと予想されますが、いずれにおいても、 ブロックチェーンの特性が不動産取引に非常にマッチしていることは間違いがなく、 今後もこの不動産業界におけるブロックチェーンの流れは続いていくでしょう。 不動産の登記記録や取引をブロックチェーン上で管理することが出来るようになれば、 従来からある多くの煩雑な手続きや不透明さが解消され、何より安全性の向上とともに 決済時間が大幅に短縮されるなど結果として不動産取引自体は活性化していくことが期待されます。 不動産取引に関わる各業界は、ブロックチェーンによる社会の変革にどのように寄与していくか、 活躍の場を探し、変化していくことが求められそうです。 著者: 司法書士法人中央グループ・行政書士法人中央グループ・社会保険労務士法人中央グループ 税理士中央グループ 司法書士 小谷野 嗣土 HP:http://www.h-firm.com/index.htmlreibee-japan-am-service日本AMサービス y.dst0403@gmail.comAdministratorReibee~次世代のための賃貸経営情報~
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