スルガ銀行の融資書類改ざん問題を皮切りにここまで盛況だった不動産市場が大きく変化しました。

少し前までは需給バランスが本当に考慮されているのか?と疑問に思う位に新築アパートの建設ラッシュでした。

売主が新築アパートを一定の期間家賃を保証してくれる事で高い賃料設定でも

安心して購入した物件の稼働率は今どうなっているのか?

そんな疑問がわいてきます。

(写真=123RF)

現在の賃貸市場は空室問題に始まり人口減少、賃貸住宅の頼みの学生も減少しています。

また今回のコロナウィルスの影響で大学などもリモートで授業を行う学校も増えています。

この様な状況の中で物件の稼働率を維持する事はますます難しくなっています。

そうした市場の中で年々増加している外国人留学生の入居について考えて行きたいと思います。

(当社の管理物件ですが2021年2月1日現在、既存の外国人入居者の方の退去が増加しているという傾向ではないようです。)

筆者が賃貸仲介会社で働いていた一昔前は外国人入居者を「不可」とする傾向が非常に強かったです。

当時外国人を入居させる問題点として

  • コミュニケーションが取れない
  • 文化が違う(料理、ごみの捨て方、マナーなど)
  • 複数入居、また貸しリスク
  • 賃料の支払が不安
  • 何かあったときに本国にかえってしまい対応ができない。

など悪い部分だけ捉えられどんな外国人も一色単になっていた様に思います。

当時はまだまだ空室問題が顕在化していない事と外国人を入居させて何かあった際に

仲介責任、管理責任などを追わなくては行けない事が「外国人不可」と言う考えを定着させてしまったのだと思います。

外国人留学生の数

ここで下記のグラフを見て下さい。

グラフは独立行政法人日本学生支援機構による留学生の数の推移を表した物です。

わずか10年で3倍の水準に増加し約30万人の留学生が日本に居住している事がわかります。

現状の市場ではこうした外国人留学生を取り込む事で安定的な賃貸経営を行える事に繋がると容易に想像できます。

外国人留学生を入居させる際に注意するポイント

当社の管理物件でも日本語学校が近くにあり、外国人留学生に入居して頂く事で築年数のわりに非常に良い賃料で高稼働を維持している物件もあります。

入居の際には外国人専門の保証会社に加入して頂く事が必須ですが、

保証会社の審査が通ったから闇雲に入居させてしまう事はせずに先に説明をさせて頂いた

外国人を入居させる問題点をひとつひとつ紐解いていきましょう。

・コミュニケーションが取れない

入居審査の段階で日本語のレベルがどの程度か把握しておきましょう。

自分で仲介会社に行って物件を探すレベルであれば良いと思いますが、

友達が日本語を話せて本人はまったくできないというケースもありますので

その際は友人の電話番号を予め教えて頂く様にします。

入居中のトラブル(騒音、漏水、故障など)が発生した場合を考えると

最低限の日本語の語学力は必要だと思います。

入学したてばかりの頃は学校の先生などの連絡先を聴くなどしておくと良いと思います。

・文化が違う(料理、ごみの捨て方、マナーなど)

この部分は入念に説明が必要となります。

賃貸借契約書の内容をすべて把握できる外国人は少ないので、

イラストの入った書面などを別途作成して入居時に交付をするのも一つの対策です。

・複数入居、又貸しリスク

この問題が特に多く発生すると思います。

外国はフラットメイトなど一つの物件に複数でシェアして居住するのが

一般化されている国もあるので、日本の賃貸契約の様に入居者が制限されている事がありません。

必ず複数入居はできない旨を契約書に記載をし、万が一複数入居が判明した場合に

賃料の増額や退去してもらう事になると伝えるも重要です。

・賃料の支払が不安

家賃保証会社に必ず加入して頂きましょう。万が一滞納があった場合、概ね2ヶ月間は

家賃保証をしてくれて退去手続きになります。

また保証内容で原状回復費用や更新料等の保証なども併せて付加する事も良いと思います。

以前、無断退去をしたあげく室内のエアコンを持って行ってしまった事もありました。

この様な事があった時の保証として当社では契約時の敷金を2ヶ月にして頂いています。

・何かあったときに本国にかえってしまい対応ができない。

日本の留学生は学校等が窓口として大きな役割を果たしているので、

必ず学校の総務の方の連絡先や日本の友人・知人等の連絡先を聴く様にしましょう。

無断で帰国されてしまう方は滞納になるケースが多いので早い段階で保証会社と

コンタクトを取る事も重要です。

こうして問題点となる部分を解消していけば、外国人の入居者の方を住まわせる

リスクも低くなると思います。

おわりに

余談ですが、保証会社さんとお話をさせて頂いた際に

外国人入居者の方の問題のベスト2が他人に貸してしまう転貸夜逃げだそうです。

それでも全体の1~2%程度の方達の様なので、日本人向けの保証会社と同じような水準だと思います。

そう考えると日本人だから、外国人だからと言う事はあまり関係のない事なのかもしれません。

どの人種でもだらしない人やルールを守らない人がいると言う事です。

今後の賃貸経営を考えるうえでも「外国人入居者とどう向き合うか」

をしっかり考える事が今後ますます重要となると思います。

またコロナウィルスの影響で外国人留学生の入国が若干止まっている様ですが、

今後も外国人入居者を取り込むのは稼働率をあげるための方法の一つだと思います。

「更新:2021.2.2」

著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉

外国人入居者と向き合うhttps://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/02/908bde823804a9859c2820db40a3445a.jpghttps://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/02/908bde823804a9859c2820db40a3445a-150x150.jpgreibee-japan-am-service賃貸経営スルガ銀行の融資書類改ざん問題を皮切りにここまで盛況だった不動産市場が大きく変化しました。 少し前までは需給バランスが本当に考慮されているのか?と疑問に思う位に新築アパートの建設ラッシュでした。 売主が新築アパートを一定の期間家賃を保証してくれる事で高い賃料設定でも 安心して購入した物件の稼働率は今どうなっているのか? そんな疑問がわいてきます。 (写真=123RF) 現在の賃貸市場は空室問題に始まり人口減少、賃貸住宅の頼みの学生も減少しています。 また今回のコロナウィルスの影響で大学などもリモートで授業を行う学校も増えています。 この様な状況の中で物件の稼働率を維持する事はますます難しくなっています。 そうした市場の中で年々増加している外国人留学生の入居について考えて行きたいと思います。 (当社の管理物件ですが2021年2月1日現在、既存の外国人入居者の方の退去が増加しているという傾向ではないようです。) 筆者が賃貸仲介会社で働いていた一昔前は外国人入居者を「不可」とする傾向が非常に強かったです。 当時外国人を入居させる問題点として コミュニケーションが取れない 文化が違う(料理、ごみの捨て方、マナーなど) 複数入居、また貸しリスク 賃料の支払が不安 何かあったときに本国にかえってしまい対応ができない。 など悪い部分だけ捉えられどんな外国人も一色単になっていた様に思います。 当時はまだまだ空室問題が顕在化していない事と外国人を入居させて何かあった際に 仲介責任、管理責任などを追わなくては行けない事が「外国人不可」と言う考えを定着させてしまったのだと思います。 外国人留学生の数 ここで下記のグラフを見て下さい。 グラフは独立行政法人日本学生支援機構による留学生の数の推移を表した物です。 わずか10年で3倍の水準に増加し約30万人の留学生が日本に居住している事がわかります。 現状の市場ではこうした外国人留学生を取り込む事で安定的な賃貸経営を行える事に繋がると容易に想像できます。 外国人留学生を入居させる際に注意するポイント 当社の管理物件でも日本語学校が近くにあり、外国人留学生に入居して頂く事で築年数のわりに非常に良い賃料で高稼働を維持している物件もあります。 入居の際には外国人専門の保証会社に加入して頂く事が必須ですが、 保証会社の審査が通ったから闇雲に入居させてしまう事はせずに先に説明をさせて頂いた 外国人を入居させる問題点をひとつひとつ紐解いていきましょう。 ・コミュニケーションが取れない 入居審査の段階で日本語のレベルがどの程度か把握しておきましょう。 自分で仲介会社に行って物件を探すレベルであれば良いと思いますが、 友達が日本語を話せて本人はまったくできないというケースもありますので その際は友人の電話番号を予め教えて頂く様にします。 入居中のトラブル(騒音、漏水、故障など)が発生した場合を考えると 最低限の日本語の語学力は必要だと思います。 入学したてばかりの頃は学校の先生などの連絡先を聴くなどしておくと良いと思います。 ・文化が違う(料理、ごみの捨て方、マナーなど) この部分は入念に説明が必要となります。 賃貸借契約書の内容をすべて把握できる外国人は少ないので、 イラストの入った書面などを別途作成して入居時に交付をするのも一つの対策です。 ・複数入居、又貸しリスク この問題が特に多く発生すると思います。 外国はフラットメイトなど一つの物件に複数でシェアして居住するのが 一般化されている国もあるので、日本の賃貸契約の様に入居者が制限されている事がありません。 必ず複数入居はできない旨を契約書に記載をし、万が一複数入居が判明した場合に 賃料の増額や退去してもらう事になると伝えるも重要です。 ・賃料の支払が不安 家賃保証会社に必ず加入して頂きましょう。万が一滞納があった場合、概ね2ヶ月間は 家賃保証をしてくれて退去手続きになります。 また保証内容で原状回復費用や更新料等の保証なども併せて付加する事も良いと思います。 以前、無断退去をしたあげく室内のエアコンを持って行ってしまった事もありました。 この様な事があった時の保証として当社では契約時の敷金を2ヶ月にして頂いています。 ・何かあったときに本国にかえってしまい対応ができない。 日本の留学生は学校等が窓口として大きな役割を果たしているので、 必ず学校の総務の方の連絡先や日本の友人・知人等の連絡先を聴く様にしましょう。 無断で帰国されてしまう方は滞納になるケースが多いので早い段階で保証会社と コンタクトを取る事も重要です。 こうして問題点となる部分を解消していけば、外国人の入居者の方を住まわせる リスクも低くなると思います。 おわりに 余談ですが、保証会社さんとお話をさせて頂いた際に 外国人入居者の方の問題のベスト2が他人に貸してしまう転貸と夜逃げだそうです。 それでも全体の1~2%程度の方達の様なので、日本人向けの保証会社と同じような水準だと思います。 そう考えると日本人だから、外国人だからと言う事はあまり関係のない事なのかもしれません。 どの人種でもだらしない人やルールを守らない人がいると言う事です。 今後の賃貸経営を考えるうえでも「外国人入居者とどう向き合うか」 をしっかり考える事が今後ますます重要となると思います。 またコロナウィルスの影響で外国人留学生の入国が若干止まっている様ですが、 今後も外国人入居者を取り込むのは稼働率をあげるための方法の一つだと思います。 「更新:2021.2.2」 著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉不動産投資成功のノウハウを解説します
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