不動産投資を行う上である程度の財務や税務の知識がある事は非常に有利だと思います。

当然の事ながら確定申告などは税理士さんに任せるのが一般的ですが、

実際には殆どの税理士さんは申告だけを行い、収支のアドバイスなどを行ってもらえないのが現実です。

(写真=123RF)

不動産投資において「手残りの収入」や「節税」でお金を残す事が一番重要だと思いますが、

そのためには管理を良好にして稼働率を維持する、できる限り経費を抑えて最大限の費用対効果を上げる事が必要となります。

これは物件のハード面のお話しですが、ソフト面(財務、税制)をどれだけ把握するかでお金の残り方も変わってきます。

今回は支払利息の性質について解説をさせて頂きたいと思います。

支払利息について

支払利息は融資を受けた元本に対して約定した金利に基づき算出されます。

年額の支払利息は確定申告を行う際に経費として扱われ、収益から差し引く事で課税所得を減額する役割があります。

支払利息が経費にならないケース

支払利息は一般的には経費として毎期取り扱われますが、

実は不動産所得が赤字の場合、土地と建物で案分した土地分の支払利息については経費として扱われません。

不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
この結果、不動産所得の損失(赤字)の金額があるときは、他の所得の金額(黒字)と差引計算(損益通算)を行うことになっています。
ただし、不動産所得の金額の損失のうち、次に掲げる損失の金額は、損益通算の対象となりません。

  1. 1 別荘等のように主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの
  2. 2 不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額

(国税庁HPから抜粋)

例:

1億円の借入を行い建物3千万円、土地7千万円の物件を購入したとして

利息が2%ですと7千万円×2%の140万円の部分が経費として認められない事になります。

本来であれば不動産所得が赤字の場合、他に所得(サラリーマン所得)等があれば損益通算と言って

不動産所得の赤字分を他の所得と合算する事で他の所得を減らす事になり、その減額した部分の

源泉徴収をされた所得税などの還付を受ける事ができるのですが、土地部分の利息については損益通算できなくなります。

例:

不動産所得 △140万円 サラリーマン所得700万円 損益通算を行うと総所得が560万円になりこの部分で税金が計算されます。

しかしながら利息分についての赤字は損益通算できないため、サラリーマン所得は700万円のままになります。

これは140万円の現金を支出したにもかかわらず、税務上なんの影響も与える事ができない支出になります。

つまりキャッシュ支出をしているにも関わらず経費にならないという、減価償却費と真逆の効果を与えます。

不動産投資を行われる方の中には不動産所得以外の所得と合算して節税効果を狙う方も多くいらっしゃると思います。

こうしたルールを知らないで単純に減価償却費をうまく使った節税方法を行っていたとしても、実は利息分が経費に

なっておらず、想定していた節税対策が行われていないことになり。実際には資産を減らす事に繋がっている事もあると思います。

近年の不動産投資における状況

特に最近サラリーマン投資家の方が増えてきていますが、

良く見かけるのが購入した物件の耐用年数既に経過している木造アパート物件などで金利が3%を超える借入を行って

投資を行っているケースです。

耐用年数が経過した木造アパートの場合、建物の減価償却期間は4年です。

建物価格を高く購入していれば減価償却費が大きくなり、この部分で作った赤字で

サラリーマン所得と損益通算をして節税なんて事を耳にしますが、既にお分かりだと思いますが、

不動産所得が赤字の場合はその部分の赤字の支払利息は損益通算ができないのです。

また築年数が古い物件だと修繕費など想定外の費用が多く掛かる傾向があり、

そうした安定しない収益の中でさらに高金利で借入を行っている場合、支払利息分の経費計上ができない事につながってきます。

これは投資において大変大きなビハインドになる事は言うまでもありません。

 

ゼロエクイティ投資(手許資金ゼロ)、高金利(3%以上)、経費率が高い物件(収入の3割を超える)

現状で数多く取引がされている物件の特徴です。

こうした物件は表面的な利回りに目が行きがちですが、ソフト面から見ても非常にリスクが高い

投資だと支払利息の税制だけ見ても理解する事ができると思います。

 

まとめ

不動産投資はプロにアドバイスを聴く事でぐんと成功確率が増加しますが、

殆どの方がプロを探し相談する時間も費用もないのが現状で、安易に物件紹介を受けた会社を信用して

リスクの高い物件で不動産投資を始めてしまうのが実情です。

気が付かない方も非常に多いですが、保有している物件は実は手許に何も残らない投資になるばかりか、

出費が多くなる時は手元資金を持ち出さなくてはいけない事もあります。

またマーケットが崩れてしまうと売買価格は下落するので、辞めたくても辞められないリスクを背負う事になり、

まったく身動きが取れなくなる事もありえるのです。

不動産投資は物件の資産価値を見極めて、減価償却費、支払利息などの税金に大きな影響を与える経費の性質を知り

「自分の金は自分で残す」これくらいの気持ちをもたなければ今後の市場で勝ち抜くことは難しいのかもしれません。

 

著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉

支払い利息が全額経費にならない?https://i2.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/04/67271884_ml.jpg?fit=1024%2C683https://i2.wp.com/reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/04/67271884_ml.jpg?resize=150%2C150yodoshita不動産売買不動産税務賃貸経営不動産投資を行う上である程度の財務や税務の知識がある事は非常に有利だと思います。 当然の事ながら確定申告などは税理士さんに任せるのが一般的ですが、 実際には殆どの税理士さんは申告だけを行い、収支のアドバイスなどを行ってもらえないのが現実です。 (写真=123RF) 不動産投資において「手残りの収入」や「節税」でお金を残す事が一番重要だと思いますが、 そのためには管理を良好にして稼働率を維持する、できる限り経費を抑えて最大限の費用対効果を上げる事が必要となります。 これは物件のハード面のお話しですが、ソフト面(財務、税制)をどれだけ把握するかでお金の残り方も変わってきます。 今回は支払利息の性質について解説をさせて頂きたいと思います。支払利息について 支払利息は融資を受けた元本に対して約定した金利に基づき算出されます。 年額の支払利息は確定申告を行う際に経費として扱われ、収益から差し引く事で課税所得を減額する役割があります。支払利息が経費にならないケース 支払利息は一般的には経費として毎期取り扱われますが、 実は不動産所得が赤字の場合、土地と建物で案分した土地分の支払利息については経費として扱われません。 不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。 この結果、不動産所得の損失(赤字)の金額があるときは、他の所得の金額(黒字)と差引計算(損益通算)を行うことになっています。 ただし、不動産所得の金額の損失のうち、次に掲げる損失の金額は、損益通算の対象となりません。1 別荘等のように主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの 2 不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額(国税庁HPから抜粋) 例: 1億円の借入を行い建物3千万円、土地7千万円の物件を購入したとして 利息が2%ですと7千万円×2%の140万円の部分が経費として認められない事になります。 本来であれば不動産所得が赤字の場合、他に所得(サラリーマン所得)等があれば損益通算と言って 不動産所得の赤字分を他の所得と合算する事で他の所得を減らす事になり、その減額した部分の 源泉徴収をされた所得税などの還付を受ける事ができるのですが、土地部分の利息については損益通算できなくなります。 例: 不動産所得 △140万円 サラリーマン所得700万円 損益通算を行うと総所得が560万円になりこの部分で税金が計算されます。 しかしながら利息分についての赤字は損益通算できないため、サラリーマン所得は700万円のままになります。 これは140万円の現金を支出したにもかかわらず、税務上なんの影響も与える事ができない支出になります。 つまりキャッシュ支出をしているにも関わらず経費にならないという、減価償却費と真逆の効果を与えます。 不動産投資を行われる方の中には不動産所得以外の所得と合算して節税効果を狙う方も多くいらっしゃると思います。 こうしたルールを知らないで単純に減価償却費をうまく使った節税方法を行っていたとしても、実は利息分が経費に なっておらず、想定していた節税対策が行われていないことになり。実際には資産を減らす事に繋がっている事もあると思います。近年の不動産投資における状況 特に最近サラリーマン投資家の方が増えてきていますが、 良く見かけるのが購入した物件の耐用年数既に経過している木造アパート物件などで金利が3%を超える借入を行って 投資を行っているケースです。 耐用年数が経過した木造アパートの場合、建物の減価償却期間は4年です。 建物価格を高く購入していれば減価償却費が大きくなり、この部分で作った赤字で サラリーマン所得と損益通算をして節税なんて事を耳にしますが、既にお分かりだと思いますが、 不動産所得が赤字の場合はその部分の赤字の支払利息は損益通算ができないのです。 また築年数が古い物件だと修繕費など想定外の費用が多く掛かる傾向があり、 そうした安定しない収益の中でさらに高金利で借入を行っている場合、支払利息分の経費計上ができない事につながってきます。 これは投資において大変大きなビハインドになる事は言うまでもありません。 ゼロエクイティ投資(手許資金ゼロ)、高金利(3%以上)、経費率が高い物件(収入の3割を超える)現状で数多く取引がされている物件の特徴です。こうした物件は表面的な利回りに目が行きがちですが、ソフト面から見ても非常にリスクが高い投資だと支払利息の税制だけ見ても理解する事ができると思います。  まとめ 不動産投資はプロにアドバイスを聴く事でぐんと成功確率が増加しますが、殆どの方がプロを探し相談する時間も費用もないのが現状で、安易に物件紹介を受けた会社を信用してリスクの高い物件で不動産投資を始めてしまうのが実情です。気が付かない方も非常に多いですが、保有している物件は実は手許に何も残らない投資になるばかりか、出費が多くなる時は手元資金を持ち出さなくてはいけない事もあります。またマーケットが崩れてしまうと売買価格は下落するので、辞めたくても辞められないリスクを背負う事になり、まったく身動きが取れなくなる事もありえるのです。不動産投資は物件の資産価値を見極めて、減価償却費、支払利息などの税金に大きな影響を与える経費の性質を知り「自分の金は自分で残す」これくらいの気持ちをもたなければ今後の市場で勝ち抜くことは難しいのかもしれません。 著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉~次世代のための賃貸経営情報~
共有する