グロ10%の法則は本当?嘘!?
「グロ10%の法則」※グロス10%=表面利回り10%以上
(写真=123RF)
「やはり表面で10%はないと」不動産業者が良く使うセールストークです。
表面利回りとは単純に物件の年収を購入価格で割ったもので、経費などがまったく考慮されていない利回りです。
巷では「グロテン、グロテン」と言われています。
これは綿密な計算で求められた数値ではなく、いい加減なセールスマンが
概ね表面利回りが10%を超える物件であれば「銀行の融資などを考えてまぁ大丈夫でしょ」と言う
安易に作られた水準です。
銀行に預金をしてもまったく利息が付かない中で10%はとても魅力的に思えてしまい、
安易に不動産投資をしてしまうと大きな失敗のきっかけを作ってしまいます。
忘れてはいけないのが不動産投資を行うには様々な経費が掛かります。
以下が一般的に運用にかかる費用となります。
管理費
固都税
保険料
修繕費
広告料
水光熱費
支払利息
減価償却費
不動産にかかる経費率は物件により違い、
築年数、大規模修繕の実施、前オーナーの修繕に対する考え方などで決まってきます。
冒頭の表面利回り10%の物件はいくらでもあり、その中の殆どの物件が、
経費率が非常に高く毎月修繕費が多くかかってしまい、元利金を支払ったら手元に何も残らないという物件もざらにあります。
最近では手許資金ゼロで金融機関からオーバーローン(購入する際の経費分も借入で賄う)を引いて
不動産投資を行っている方もいらっしゃいますが、その場合、利息が割高になり、さらに元利払いを
増加して不動産投資のリスクを増やして投資をしている方も増加しています。
投資家の中には
「借入元本返済しているのだから、最終的に売却する時に借金が減っていてトントンで売却できればキャッシュが残る」
「最終的には土地が残るので資産価値はありますよ」
この方法は投資として合っている手法なのかと疑問を持ってしまいます。
この様に言い訳をしてしまう様な投資は既にうまくいっていないことが明確になっている様に思います。
投資家さんの2つの言葉について少し考えてみましょう。
「借入元本返済しているのだから、最終的に売却する時に借金が減っていてトントンで売却できればキャッシュが残る」
ある意味あっていると思いますが、冷静に考えてみると表面10%の物件の殆どが築年数20年を超えるような物件で
建物の耐用年数も既に経過している事もしばしばです。
この様な物件の減価償却費の計上がなくなったら?
保有期間中にギリギリのキャッシュフローの中で稼働率の低下や賃料の減額が発生した場合に
約定された元利金の返済はできるのでしょうか?
借入残高が減ってきた十数年後にトントンで売却できる可能性はどれくらいのものなのでしょうか?
「最終的には土地が残るので資産価値はありますよ」
土地の資産価値を考慮した評価に積算価格と言うのがあります。
アパートローンに貸出をする金融機関の殆どがこの積算価格を考慮して融資の決定をします。
最後の最後にリスク回避のため土地の価値が高ければと考えているのでしょう。
当然アパート経営を行う上でこの土地が最後に残ればリスクは小さいようにも思いますが、
着目点をずらしただけであり、リスクは残ったままです。
不動産投資を行う上で予め土地を売却して投資を完結すると考えているのであれば、
入居者の立退費用、建物の取壊し費用はどの程度見積もっているか?
売却するタイミングで土地がいくらで売却できればその投資は成功としているのか?
不動産投資の多くはインカムゲイン(保有期間中の家賃収入)を目的とした投資なので、
上記の様にリスクから目を背けない様にしなければなりません。
重要な事は表面10%という指標ではなく、運用する上での管理費、保険、減価償却費、利息、元本返済など
どのくらいキャッシュが必要でどの位最後にキャッシュが残り、他の所得と合わせて税金を考慮する事が重要になるわけです。
物件の本質的な利回り(ネット利回り)は最終的に皆様の手元に残るキャッシュがどれ位かという事になります。
そのため不動産投資をされる前に投資シミュレーションをする事が非常に重要となり。
トラックレコード(過去の実績や履歴)
・過去の稼働率の推移はどうだったのか
・更新の頻度はどうか
・過去の修繕履歴の状況はどうだったのか
・管理費、清掃費
・法定点検費用
・水道光熱費
・募集広告料
・退去した部屋の原状回復費
・保険の額
・固都税の額
・発生したトラブル(水漏れ、雨漏り、火災)
こうしたトラックレコードを加味して購入後のキャッシュがどの程度手元に残るか、
想定しているよりもキャッシュが残らないのであれば、購入前に管理費の予算を決めて管理会社を探したり
そして経費の大きなウエイトを占める借入利息を金融機関と条件交渉したり
様々な手法で不動産投資のリスクを減らして行けると思います。
著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉
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