不動産投資において重要なのは資産規模でなく純資産(バランスシート理解する)
「資産〇十億円をつくる方法」などの広告や書籍などが至る所に見受けられます。
とても華やかで不動産投資は魅力的な投資だと誘惑に駆られてしまいますね。
(写真=123RF)
不動産の純資産とは何か?
不動産投資の多くのケースは金融機関から借金を行って購入します。
数十億円の不動産を保有していても、実際には負債がその資産とほぼ同額です。
つまり借入を行って購入した物件から生まれる家賃収入から修繕費等の経費を
引いて、金融機関へ元利金返済、税金の支払いを経て残ったキャッシュが
手元に残ります。
この手元に残った金額が純資産となっていきます。(建物の減価償却と元本返済のバランスも影響を受けます。)
つまり資産が何十億とあっても、実際には物件を売却するとなった際に
保有期間中のキャッシュフロー+売却収入から売却時の経費を引いた手取(売却益)が
借入金の残金元本を上回っていなければ不動産投資の成功とは言えません。
(参考「純資産と債務超過は時価評価で解析!BSを理解する」)
近年行われた不動産投資は多くのケースが成功とは程遠い物件である事が多く
問題となっています。
また昨今、破産者が増加しているワンルームマンション投資ですが、
新築ワンルーム投資は購入時既に購入価額の3割程度は純負債となっており、
そこから投資をスタートしていると認識する必要があります。
(参考「(続)新築ワンルーム投資の成功確率は〇%」)
殆どのケースがキャッシュの持出が発生しており、数年保有をして
売却をしても結果的に借金を弁済する金額での売却ができず、
借金だけが残ってしまう投資となっています。
これは保有期間中純資産が増加しないところか、投資を始めた当初から資産がマイナスである事を意味します。
純資産は
保有期間中のキャッシュフロー
+現在想定できる売却収入から売却時の経費を引いた手取(売却益)
―借入金の残金元本=純資産
なのです。
不動産投資を行う上で重要な事は資産規模だけではなく、
純資産は市場価格と比較して割安な物件、キャッシュフローを保有期間中生み出す物件(純資産を増加させる)に投資をするかが重要となるわけです。
おわりに
不動産投資は一度始めてしまうとすぐには辞める事ができない投資です。
購入時には不動産取得税、不動産登録免許税、仲介手数料、司法書士報酬、金融機関の借入手数料など
初期費用や購入時にかかる費用が多額にかかります。
購入して即時に売却して利益を得るのは転売業者が仕入金額で購入すれば可能ですが、
素人の方がそんな不動産投資を行える事は稀です。
つまり購入の段階でどれだけ投資スタンスに見合う物件を見極める事が求められます。
「買えたから買ってしまった」投資家の方もいると思いますが、
こうした方はノンポリシー投資家であると言えます。
物件選定から金融機関の選定から何からすべて業者任せで
「高い額で」「高い金利で」「価値が低い」物件を購入してしまっている
可能性があります。
不動産投資を行う前にもう一度ご自身のライフプランや不動産投資を行った際の
キャッシュフローなどを意識して物件選びを行いましょう。
買う事が不動産投資ではなく、購入してからいかに想定したキャッシュフローを得られるか
そして純資産を高めていくのが不動産投資の目的です。
「更新:2019.11.21」
著者:日本AMサービス 堂下 葉
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