高齢化社会における諸問題は賃貸経営における稼働率の問題に留まらず、他にも様々な要因で影響してくると予想できます。

 

(写真=123RF)

内閣府の発表によると今後も独居老人は増加傾向にあると予想されており、

今後、賃貸経営にこうした独居老人の事を考えながら運営する機会は増加すると思います。

 

(出典:内閣府  一人暮らし高齢者の動向)

こうして一人暮らの高齢者が増加している中で、孤立死で亡くなる高齢者も右肩上がりで増えてきています。

(出典:内閣府 東京23区内で自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者)

独立行政法人都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約75万戸において、単身の居住者で死亡から相当期間経過後(1週間を超えて)に発見された件数(自殺や他殺などを除く)は、平成26(2014)年度に186件、65歳以上に限ると140件となっている

 

上記データから今後も高齢者の一人暮らしは増加傾向にあり、自宅で亡くなる方も増加していくと予想されます。

稼働率を上げるために高齢者などに貸す機会も多くなるので、今後賃貸経営にもこうした問題に取り組む必要性があります。

 

今回はこうした状況の中で高齢者の方が入居者の場合にどの様な部分を気にかける必要があるのか解説をしたいと思います。

 

1.孤立死を防ぐために大家さん、管理会社が考えなくてはいけない事

・連絡先の更新を行う

入居審査の際に連帯保証人、緊急連絡先などを申込書に記入して頂きますが、

記載された方の中にも高齢の方がいらっしゃるケースがあります。

入居中に何かあった際に連絡をしても連帯保証人、緊急連絡先の方も亡くなっているケースなどもあります。

更新のタイミングなどで連絡先なども含めて確認を行い、必要であれば他の親族の方等の

連絡先を控えておけば何かあった際にも対応ができると思います。

 

・保証会社に必ず加入をしてもらう

高齢者の方が生活保護を受給されている場合は役所から直接家賃の振込が可能です。

また定期的に役所の訪問などがあるので安否確認が取れますが、

そうでない高齢者の方も今後、増加してくると思いますので入居の際には必ず保証会社を利用して貰いましょう。

 

・外部のサービスを利用する

今では見守りサービスが様々な企業が提供をしています。

中には電気ポットの利用で使用状況をネットで確認する事で使用頻度などで生活のリズムや安否などを確認するサービスもあります。

訪問サービスも月に数千円で受けられますので、こうしたサービスを入居者に加入して頂き入居して頂く事も良いと思います。

 

2.孤立死が発生してしまった場合

・発生時の対応

万が一孤立死が発生してしまった場合、まず地域の警察により事故死でないのかなどの調査されます。

並行して身元引受人や相続人がいないか警察が確認をします。

身元引受人や相続人がいれば、今後についてその方と話し合う事になります。

万が一身元引受人がいないと、お部屋の明け渡しまで法的な手続き(相続財産管理人の選任等)が発生し

長期的に次の募集ができない可能性があります。そうならない様に事前の対策が非常に重要となります。

 

・家財の処分等

家財の処分は大家さんだからと言っても勝手に行う事はできません。

契約者が亡くなっても賃貸借契約は法的に相続人へ引き継がれ、お部屋の遺品も相続人に帰属します。

万が一、勝手に処分を行ってしまうと損害賠償請求をされてしまうと確実に弁済しなければならない事になります。

 

・原状回復工事について

原状回復工事の義務もまた相続人に引き継がれる事になります。

大家さんによっては全責任を取っても貰えると考える方も多いですが、

あくまでも契約書に基づく原状回復と合わせて相続人の方との話し合いにより工事費の負担が決まります。

一般的には孤立死は故意・過失がないと考えられているのが一般的に考えられています。

 

おわりに

空き家問題や高齢化社会で今後ますます高齢者の賃貸需要などは増えてくると思います。
また少子化社会ですのでこうしたニーズを取り込まないと稼働率を維持する事も難しくなる事も予想されます。
今後、賃貸経営を行う上でこうした部分を考慮にいれながら、問題になる可能性がある部分を
予め把握をして対応をしっかり考える事も賃貸経営を行う上で重要となります。
著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉
高齢化社会と賃貸経営https://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/03/7950233_ml-1024x680.jpghttps://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/03/7950233_ml-150x150.jpgreibee-japan-am-service賃貸経営高齢化社会における諸問題は賃貸経営における稼働率の問題に留まらず、他にも様々な要因で影響してくると予想できます。   (写真=123RF) 内閣府の発表によると今後も独居老人は増加傾向にあると予想されており、 今後、賃貸経営にこうした独居老人の事を考えながら運営する機会は増加すると思います。   (出典:内閣府  一人暮らし高齢者の動向) こうして一人暮らの高齢者が増加している中で、孤立死で亡くなる高齢者も右肩上がりで増えてきています。 (出典:内閣府 東京23区内で自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者) 独立行政法人都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約75万戸において、単身の居住者で死亡から相当期間経過後(1週間を超えて)に発見された件数(自殺や他殺などを除く)は、平成26(2014)年度に186件、65歳以上に限ると140件となっている   上記データから今後も高齢者の一人暮らしは増加傾向にあり、自宅で亡くなる方も増加していくと予想されます。 稼働率を上げるために高齢者などに貸す機会も多くなるので、今後賃貸経営にもこうした問題に取り組む必要性があります。   今回はこうした状況の中で高齢者の方が入居者の場合にどの様な部分を気にかける必要があるのか解説をしたいと思います。   1.孤立死を防ぐために大家さん、管理会社が考えなくてはいけない事 ・連絡先の更新を行う 入居審査の際に連帯保証人、緊急連絡先などを申込書に記入して頂きますが、 記載された方の中にも高齢の方がいらっしゃるケースがあります。 入居中に何かあった際に連絡をしても連帯保証人、緊急連絡先の方も亡くなっているケースなどもあります。 更新のタイミングなどで連絡先なども含めて確認を行い、必要であれば他の親族の方等の 連絡先を控えておけば何かあった際にも対応ができると思います。   ・保証会社に必ず加入をしてもらう 高齢者の方が生活保護を受給されている場合は役所から直接家賃の振込が可能です。 また定期的に役所の訪問などがあるので安否確認が取れますが、 そうでない高齢者の方も今後、増加してくると思いますので入居の際には必ず保証会社を利用して貰いましょう。   ・外部のサービスを利用する 今では見守りサービスが様々な企業が提供をしています。 中には電気ポットの利用で使用状況をネットで確認する事で使用頻度などで生活のリズムや安否などを確認するサービスもあります。 訪問サービスも月に数千円で受けられますので、こうしたサービスを入居者に加入して頂き入居して頂く事も良いと思います。   2.孤立死が発生してしまった場合 ・発生時の対応 万が一孤立死が発生してしまった場合、まず地域の警察により事故死でないのかなどの調査されます。 並行して身元引受人や相続人がいないか警察が確認をします。 身元引受人や相続人がいれば、今後についてその方と話し合う事になります。 万が一身元引受人がいないと、お部屋の明け渡しまで法的な手続き(相続財産管理人の選任等)が発生し 長期的に次の募集ができない可能性があります。そうならない様に事前の対策が非常に重要となります。   ・家財の処分等 家財の処分は大家さんだからと言っても勝手に行う事はできません。 契約者が亡くなっても賃貸借契約は法的に相続人へ引き継がれ、お部屋の遺品も相続人に帰属します。 万が一、勝手に処分を行ってしまうと損害賠償請求をされてしまうと確実に弁済しなければならない事になります。   ・原状回復工事について 原状回復工事の義務もまた相続人に引き継がれる事になります。 大家さんによっては全責任を取っても貰えると考える方も多いですが、 あくまでも契約書に基づく原状回復と合わせて相続人の方との話し合いにより工事費の負担が決まります。 一般的には孤立死は故意・過失がないと考えられているのが一般的に考えられています。   おわりに 空き家問題や高齢化社会で今後ますます高齢者の賃貸需要などは増えてくると思います。 また少子化社会ですのでこうしたニーズを取り込まないと稼働率を維持する事も難しくなる事も予想されます。 今後、賃貸経営を行う上でこうした部分を考慮にいれながら、問題になる可能性がある部分を 予め把握をして対応をしっかり考える事も賃貸経営を行う上で重要となります。 著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉不動産投資成功のノウハウを解説します
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