不動産投資を行う際に確認をするのが登記簿謄本(全部事項証明書)

登記簿謄本には物件の権利、種類、面積、所有者や売買の履歴、借入の履歴などが記されています。

実はこの登記簿謄本は非常に重要なのですが、多くの方は表面的な情報でしか登記簿謄本を捉えていない様です。

読者の皆様も所有者情報や土地、建物の面積くらいの確認材料としか利用されていないのではないでしょうか?

(写真=123RF)

登記簿謄本の履歴(甲区:所有者の履歴)

プロはどんな登記簿謄本のどんな部分に着目しているか?

中古物件の場合、登記簿謄本には所有者変更の履歴、金融機関等からの借入の履歴が特に記録が多いです。

 

・所有者変更がどの頻度で前回の売買等の移転はいつ行われたか

現在の所有者がいつ所有権者になったか、ここでどの位保有しているかが確認する事ができます。

この所有期間や移転原因などが非常に重要で、様々な事を読み解くヒントになります。

 

1.前所有者からの売買で所有者になってから1~2年を超えていないケースで売買を行うのは転売目的や

何かしらの理由で売り急ぎで売却を行っているケースが多いです。

転売業者の場合(短期間で売買を繰り返して利益を得る業者)、金融機関から短期間で借入を行い購入しているケースが多いです。

そのため借入金利なども割高なケースが多いので、できる限り早めに売却を行いたいと言うインセンティブがあります。

 

2.急に資金が必要になってしまったり、当初想定をしていた通りのシミュレーション通りに手許にキャッシュが

残らない、修繕費や稼働率が原因で物件から発生する収入では賄えきれず持出しが多額になったしまったなどもあるでしょう。

特に個人が所有者だと短期的に手放す(不動産投資をやめなくてはいけない)ケースの場合、上記の理由や

家族に内緒にしていた不動産投資がばれてしまい処分と言うケースもあります。

 

3.相続が発生し物件を売却するケースの場合、相続人が不動産投資をまったく行ったことがないケースや、

相続税納税のために物件を処分して資金を作るケースなどがあり、急いで売却している事が非常に多いです。

注記:個人で不動産投資を短期で行うと税務上非常に不利

個人の方は特に5年以内の売却益に約40%のもの税金がかかるので、余程の事がない限り売却するという意思には働かないと思います。

つまり売却をしているのは多額の利益を獲得しているか、何かしらの理由で不動産投資を辞めなくてはならなくなったという事です。

(参考:アパート売却と税金

 

・所有者が頻繁に変わる物件

所有者変更が多い程、物件に何かしらの問題がある可能性があると考えても良いです。

多額に費用がかかる、稼働率が安定しない、その他にも何か問題(特に事故物件になった)が発生したと想定する事ができます。

多額に費用がかかる要素として、築年数20年を超えてくると、エアコン、給湯器などの故障が多発してきます。

費用が大きな設備等の更新(消防設備機器、屋上防水など)の大規模修繕が必要となるケースがあります。

(注記:こうした物件を購入する場合、修繕履歴等を入手するのは非常に重要)

稼働率が安定しない物件の場合、所有者変更が繰り返されたために、募集が止まっている時期があったのか、

それとも何かしら近隣の施設移転(大学の移転)などネガティブインパクトの情報があるかなど

競合する物件の条件や募集件数などを考慮しながら、しっかりと確認を行いましょう。

 

登記簿謄本の履歴(乙区:借入等の履歴)

登記簿当方の乙区にはどの金融機関から借入金額、金利の条件などが記載されています。

この情報から借入れた金融機関や条件で物件の担保能力がどれくらいあるかの尺度がわかります。

 

・金融機関の融資スタンスなどを分析

某個人投資家が数多く使用している地銀の場合の借入は、物件の担保評価と個人の信用力を担保にしているので、

借入額にしての物件のポテンシャル(物件の評価額)が低い可能性があります。

 

・借入期間と建物の構造・築年数から現状の金融機関への残債の目安を分析

耐用年数がオバーした物件や耐用年数がまじかな物件の場合、構造によって融資期間が決まってしまいます。

そうして導き出した予想値と販売価格と金融機関への残債とを比較する事でどの程度で売却すれば返済できるかの予想し

売主サイドの肝となる部分を知る事で交渉力への影響や物件を購入するかの検討する良い情報となります。

 

まとめ

登記簿謄本から不動産の様々な履歴を読み解くという事は非常に重要な事です。

しかしながら昨今の不動産投資を見ていると単純な表面利回りだけが議論され、

こうした情報などを目もくれずに購入しているケースも多い様です。

非常に大きな買い物なのにも関わらず、ここまで簡易的な投資として捉えられている世界に恐ろしさも感じます。

投資はリスクとリターンのバランスが基本となるのですが、登記簿謄本を読み解く事はこのリスクとリターンを分析する

一つのツールとなりますので、しっかり皆様の目で物件の登記簿謄本と言う履歴書を見て購入検討をする不動産の面接をしてあげて下さい。

 

また相手を知ると言う事は商売の鉄則です!

知ると言うのは安く買うためのだけの口実を作るためだけのものではなく、

売主さんの現在の状況を抑えながら売買価格、決済のタイミングなどを捉えながら、うまく互いの条件を併せて行くと言う事が重要です。

 

著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉

登記簿謄本を2つの側面から読み解くhttps://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/06/45853007_ml-1024x683.jpghttps://reibee.japan-am-service.com/wp-content/uploads/2017/06/45853007_ml-150x150.jpgreibee-japan-am-service不動産法務不動産投資を行う際に確認をするのが登記簿謄本(全部事項証明書) 登記簿謄本には物件の権利、種類、面積、所有者や売買の履歴、借入の履歴などが記されています。 実はこの登記簿謄本は非常に重要なのですが、多くの方は表面的な情報でしか登記簿謄本を捉えていない様です。 読者の皆様も所有者情報や土地、建物の面積くらいの確認材料としか利用されていないのではないでしょうか? (写真=123RF) 登記簿謄本の履歴(甲区:所有者の履歴) プロはどんな登記簿謄本のどんな部分に着目しているか? 中古物件の場合、登記簿謄本には所有者変更の履歴、金融機関等からの借入の履歴が特に記録が多いです。   ・所有者変更がどの頻度で前回の売買等の移転はいつ行われたか 現在の所有者がいつ所有権者になったか、ここでどの位保有しているかが確認する事ができます。 この所有期間や移転原因などが非常に重要で、様々な事を読み解くヒントになります。   1.前所有者からの売買で所有者になってから1~2年を超えていないケースで売買を行うのは転売目的や 何かしらの理由で売り急ぎで売却を行っているケースが多いです。 転売業者の場合(短期間で売買を繰り返して利益を得る業者)、金融機関から短期間で借入を行い購入しているケースが多いです。 そのため借入金利なども割高なケースが多いので、できる限り早めに売却を行いたいと言うインセンティブがあります。   2.急に資金が必要になってしまったり、当初想定をしていた通りのシミュレーション通りに手許にキャッシュが 残らない、修繕費や稼働率が原因で物件から発生する収入では賄えきれず持出しが多額になったしまったなどもあるでしょう。 特に個人が所有者だと短期的に手放す(不動産投資をやめなくてはいけない)ケースの場合、上記の理由や 家族に内緒にしていた不動産投資がばれてしまい処分と言うケースもあります。   3.相続が発生し物件を売却するケースの場合、相続人が不動産投資をまったく行ったことがないケースや、 相続税納税のために物件を処分して資金を作るケースなどがあり、急いで売却している事が非常に多いです。 注記:個人で不動産投資を短期で行うと税務上非常に不利 個人の方は特に5年以内の売却益に約40%のもの税金がかかるので、余程の事がない限り売却するという意思には働かないと思います。 つまり売却をしているのは多額の利益を獲得しているか、何かしらの理由で不動産投資を辞めなくてはならなくなったという事です。 (参考:アパート売却と税金)   ・所有者が頻繁に変わる物件 所有者変更が多い程、物件に何かしらの問題がある可能性があると考えても良いです。 多額に費用がかかる、稼働率が安定しない、その他にも何か問題(特に事故物件になった)が発生したと想定する事ができます。 多額に費用がかかる要素として、築年数20年を超えてくると、エアコン、給湯器などの故障が多発してきます。 費用が大きな設備等の更新(消防設備機器、屋上防水など)の大規模修繕が必要となるケースがあります。 (注記:こうした物件を購入する場合、修繕履歴等を入手するのは非常に重要) 稼働率が安定しない物件の場合、所有者変更が繰り返されたために、募集が止まっている時期があったのか、 それとも何かしら近隣の施設移転(大学の移転)などネガティブインパクトの情報があるかなど 競合する物件の条件や募集件数などを考慮しながら、しっかりと確認を行いましょう。   登記簿謄本の履歴(乙区:借入等の履歴) 登記簿当方の乙区にはどの金融機関から借入金額、金利の条件などが記載されています。 この情報から借入れた金融機関や条件で物件の担保能力がどれくらいあるかの尺度がわかります。   ・金融機関の融資スタンスなどを分析 某個人投資家が数多く使用している地銀の場合の借入は、物件の担保評価と個人の信用力を担保にしているので、 借入額にしての物件のポテンシャル(物件の評価額)が低い可能性があります。   ・借入期間と建物の構造・築年数から現状の金融機関への残債の目安を分析 耐用年数がオバーした物件や耐用年数がまじかな物件の場合、構造によって融資期間が決まってしまいます。 そうして導き出した予想値と販売価格と金融機関への残債とを比較する事でどの程度で売却すれば返済できるかの予想し 売主サイドの肝となる部分を知る事で交渉力への影響や物件を購入するかの検討する良い情報となります。   まとめ 登記簿謄本から不動産の様々な履歴を読み解くという事は非常に重要な事です。 しかしながら昨今の不動産投資を見ていると単純な表面利回りだけが議論され、 こうした情報などを目もくれずに購入しているケースも多い様です。 非常に大きな買い物なのにも関わらず、ここまで簡易的な投資として捉えられている世界に恐ろしさも感じます。 投資はリスクとリターンのバランスが基本となるのですが、登記簿謄本を読み解く事はこのリスクとリターンを分析する 一つのツールとなりますので、しっかり皆様の目で物件の登記簿謄本と言う履歴書を見て購入検討をする不動産の面接をしてあげて下さい。   また相手を知ると言う事は商売の鉄則です! 知ると言うのは安く買うためのだけの口実を作るためだけのものではなく、 売主さんの現在の状況を抑えながら売買価格、決済のタイミングなどを捉えながら、うまく互いの条件を併せて行くと言う事が重要です。   著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉不動産投資成功のノウハウを解説します
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