共有持分のトラブル
先祖の土地を代々守る、一昔前の常識的な考えは現代では通用しないようです。
近年、相続などで共有となった不動産に関する問題が多数発生しており、
共有となった不動産を共有者同士の争いにより処分するにもできない状況が数多く発生しています。
(写真=123RF)
共有物件は売却できないのか?
共有者の多くの方が共有持分を売却できないと思われる方が多い様ですが、共有持分は独自で売却する事は可能なのです。
しかしながら当然問題を抱えたままで売却するので買主に取ってみると「購入してから問題を解決しなければならない物件」なので
市場価格と比較して相当の割安価格でしか売却する事はできません。
昨今問題となっている空き家問題も共有者間で折り合いがつかず、共有名義のまま、
賃貸に出す事も、処分する事もできず放置されてしまっている物件も数多く存在すると思います。
共有状態を解消するためにはどうすれば良いか?
共有者間で争ってしまい、どうにもこうにもならない場合、何かしらの手立てがないのか?
実はこの共有問題は民法256条1項で
共有物の各共有者はいつでも共有物の分割を請求する事ができる
と定められております。
この権利は共有物分割請求権と言われており共有者はそれぞれ他の共有者に対して共有物の分割について請求する権利、請求された場合に共有物を分割する義務を負う事になります。
何も収益を生まず、せっかく被相続人が残してくれた資産をただ放置し固定資産税を払い続けるのはとても馬鹿馬鹿しい事です。
しかしながら安値で手放すのもせっかく相続をしたのに忍びないのであれば共有物分割請求訴訟を検討するのも方法もひとつです。
共有物件で発生する具体例
1.建物が単有名義で土地が共有となっているケース
本来であれば建物所有者が共有名義の土地に建物を建て利用しているので、
地代相当分を他の共有者に支払う事が必要です。しかしながら親族間の場合、権利関係を明確にせずうやむやになってしまうケースもがあります。
権利を主張すると争いが起きてしまう可能性があるので静かに黙っておくという方もいらっしゃいますが、そうした状況はそもそも相続などで共有名義にした問題点があったのだと思います。
2.兄弟同士で共有名義で親の資産を相続したケース
相続が発生した場合、不動産だけでなく他の資産も相続対象となります。
被相続人が生前に兄弟間とは言っても優劣をつけて資産などを渡している
ケースも少なくありません。
実際に相続が発生した際に想像していた以上に相続資産が少なかったりと
資産の使い込みなどが行われていたという話も少なくありません。
こうした状況の中で平等に共有持分となっても、処分などを行うにも
互いの協力関係が得られない事もあります。
裁判による共有物分割方法
共有物分割請求訴訟における分割方法は「現物分割」「競売」が定められていますが、裁判所の判例では様々な解決方法があります。
現物分割
各共有者の持分に応じて土地を分筆する。
この方法は土地だけの場合に可能です、土地の上に建物があり
建物は二つに分ける事ができないため、他の問題が出てきます。
代金分割
現物分割ができない場合、分割により著しく価値が減少する恐れがある時に裁判所が共有物を競売判決を行い売却をし売却代金を均等に分ける方法です。
価格賠償
1.部分価格賠償
現物分割をした際の共有者の持分の過不足を一部金銭の賠償により精算する方法です。
2.全面的価格賠償
現物分割は行わずに、共有者が他の共有者の持分を買い取る方法で
共有物の性質等の事情を総合的に考慮し、またその価格が適正に評価され、取得者に支払能力があるかなどの特段の事情が存するとき共有者が他の共有者の持分を買い取る事ができます。
訴訟にかかる費用と時間は?
当然ですが、訴訟なので弁護士を雇うのに費用がかかります。
今では共有物分割請求訴訟に特化した弁護士もいるようですが、
その報酬はピンからキリだと思います。
共有物分割訴訟は判決まで1年を超える事はざらにあり、
結果が同じなのであれば和解などの方向に動くことが合理的である
事も多い様です。
おわりに
共有になってしまう事で問題が起きていると言う事は、そもそも共有として決めた段階の意思決定が問題であった様に思います。
その時に面倒だからと言って共有にしてしまい、処分も貸す事もできずに、数年の間、固都税を支払い続ける事は不経済です。
相続の時でも共有となってしまった後でも、今後、共有資産をどうしていくか共有者間で良く話し合われて、
問題が解決しないようでしたら、専門家に助けを借りる事も必要です。
著者:日本AMサービス 代表 堂下 葉
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